「愛してるから…俺と一緒に死んでくれ…。」
そう、達也は自殺した…。
私を置いて…。
達也の母親が止めに入ったのに、遅かった。
私は、生きていた…。
自分が憎いほどだ…。
あの人と一緒に行かなきゃいけなかったのに…。
私一人生きている。
気が付いたら病院だった。
目が覚めると泣いてる春香がいた。
達也のお母さんは泣いて何度も謝ってきた。
お母さんの方が辛いはずなのに…。
奇跡は起きたけど、
奇跡は…私が望んだ奇跡は起きなかった。
誰が悪い訳でもない。
『あかね…愛してる…』
あの人が呼んでいる。
私は達也の所へ行かなければならない。
あの人への返事をまだしていない。
病院の屋上。
背中を刺された痛み。
上手く歩けない私。
網を上り、あの日見た満月を見上げる。
「今、行くから…。」
まるで、達也が返事をしてくれてるように、温かい風が吹いていく。
満月と星を見ながら、体が宙に浮いて、ゆっくり落ちて行く…。
達也と見たあの満月が、私を見つめている気がした…。
そのまま…目をつぶる…。
『達也、愛してる…。』