リレー小説「楽園」:ミッシェル

ミッシェル  2009-08-03投稿
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第二部【楽園】

◆第三話◆

一体どれくらいの間眠っていたでしょうか。

ムクは波が打ち寄せる海辺で倒れていました。

ムクは目を見開き、ゆっくりと体を起こしました。

そして立ち上がり、辺りをようく見回します。

「ここは‥ここは‥」


……その時

「……!?」

自分の手に握られていた筈の、小石のスベテがありません。

「スベテ…スベテ!」

ムクはその場にしゃがみ、慌てふためきながら大事なスベテを探しました。

しかし、見つかりません…

…その時です

「ムク…!! ムク!!」

間違いありません。スベテの声です!

ムクはすぐに声の聞こえた方へと顔を向けました。

…しかし、そこには見知らぬ男の姿がありました。

そしてその男の手には、大事なスベテが握られています…。

男は言いました。

「ほぉ、喋る石かぁ。こいつは高く売れるなァ。ふっふふ」

男は肩まである長い髪をかきあげ、怪しげな笑みを浮かべながらムクを見つめました。

異様なオーラを放つその男と視線があった時、ムクの体は凍り付きました。

その男から、ただならぬ殺気を感じたのです。

ですが、大事なスベテがその男の手に握られています。

大事な友達を、大事な仲間を失う訳にはいきません。

ムクは走りました。その男に向かって。
…しかし

「おーっと近寄るんじゃねェ。こいつが黙ってないぞ」

男はそう言って、懐から不気味に光る鋭利な物を取り出しました。

しかし、ムクに迷いはありません。

大事なスベテを取り返す為、そのまま走りつづけます。

「来るな! こいつが何か知らないのか!」

その時、男は右手を振り上げ、その鋭利な物をムクに向かって投げました。

ヒュッ!

「ムクーッ!」

「うわっ!」

とっさにムクは頭を抱えて倒れました。

ドサンッ…。

しばしの沈黙…。

ムクは閉じていた目を開け、顔だけを前に向けます。

「腕が鈍ったか」

男はそう言って、懐に手を伸ばします。

「ムクッ! 逃げて!」

スベテは叫びました。

…その時です


パーンッ!!

一発の銃声がムクの背後から聞こえました。

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