雪の華?

龍王  2006-07-24投稿
閲覧数[536] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「あんなのが婚約者なんて…」
「あんなのって…」

庭のテラスでお茶をしている。聖夜は行儀悪く茶菓子を食べている。

「白藍…良い人だと思う」

聖夜がその言葉にピクッと反応し、真顔で朱斐を直視する。

「──……見合いの席につく前に無理矢理連れ出したあんなのを…婚約者と決めるのか?」
「白藍は悪い人では無かった。……黒峯を…他に好きな人がいる、でも叶わない恋だと言ったら…辛かったなって言ってくれたわ」
「それは…誰でも言う言葉だ!」

朱斐が首を少し傾け、悲しみを浮かべていた顔を笑顔に変えた。
嬉しそうに微笑む。

「──……一緒に…前に進もうと言ってくれたわ。二人で始めようって…」
「朱斐…」
「聖夜みたいに…忘れて次に…じゃなく…前に進もうって…」
「ッ……あいつを好きになったのか?」
「分からない…でも…好きに…なれたらと…思う」

聖夜がうつ向き、掴んでいたカップに力を入れる。

「お……お前の将来だ。…朱斐の…好きなようにすればいい」
「──……うん、ありがとう。聖夜…」
「……」



結局。政略結婚。
朱斐は分かって無い。
朱斐が相手にとってただの必要な駒だと言う事を…
相手が必要なのは朱斐自身じゃなく、家との繋がり、バックアップが必要なだけだ。

子供の朱斐にはそれが分からない。
あのクソ兄貴。
朱斐を好きなくせに共に逃げる勇気も無い。
哀れな朱斐…




「聖夜…?」
「あっ…何…?」
「父様にどう返事しよう?とりあえず御付き合いはする…けど婚約はまだ保留にして欲しいって言えばいいかな?」
「あ…ああ、そうだな。まず互いを知り合う事から始め、婚約は時期を見て…と俺から社長に伝えるよ」
「お願い」

朱斐は前に進む決意を固め、一歩進めた事に嬉しそうにし、自然と顔が笑む。
白藍と付き合う事がどんな大きな事かも知らずに…





「見合い相手はどうだった?白藍」
「別に…普通や」
「フッ、可愛そうに…お前見たいな奴と結婚なんて…」
「よく言うわ!お前よりマシや!」
「でも…まぁ…俺達の新しい家族になる女だ。家の為に絶対逃がすなよ。白藍」
「分かっとる。たかが女や!婚約承諾させるなんて簡単や!見とれ!!」



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 龍王 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ