「止めて‥暴力はもう止めて!」
メアリーは必死に叫び、ゲイリーと顔を合わせながら後退りする。
「愛している女に裏切られるのがこんなに辛いとはな‥」
ゲイリーはメアリーを見つめながら、おもむろにテーブルの上に転がっている果物ナイフに手を伸ばす‥。
「は、はぁ‥」
それを見た時、彼女は足の震えが止まらなくなった。
メアリーは殺されまいと必死に震える足を動かす‥。
そして、彼女は勢い良く後ろへ振り返り、走った…!。
「待て!!」
メアリーは足を止める事なく、何度も後ろへ振り返りながら、玄関に向かって走る。
「ふぅ‥お前ら!! メアリーを捕まえろ!」
ゲイリーはそばにいる部下に物凄い剣幕で命令した。
「ハァ、ハァ」
メアリーは玄関の扉を開け放ち、物凄い速さで庭を走りつづけた。
その後ろから、三人のゲイリーの部下達が必死で追跡する。
「ちぃ、逃げ足の速い女だ!」
「ハァ、ハァ」
そしてついに入り口の門が見えた。
「ハァ、ハァ、やったぁ」
彼女はスピードを緩める事なく、門へと直行する。
そして都合の良い事に、その門は開いたままだった。
どうやら彼女が帰って来た時に、その門を開けっ放しにしていたのが幸いしたようだ。
彼女はそのまま門を通過し、車道へ飛び出した。
…しかし、それと同様に部下達も門を通過し、執拗にメアリーを追跡する‥。
彼女は悪魔の追跡から逃れようと、必死に走りつづけた。
「くそっ! 何て速さだ! こうなったら」
男はそう言うと立ち止まり、歩道に転がる適当な石を拾い上げた。
「ふふっ、俺に任せろ!」
そう言いながら腕を構え、メアリーに狙いを定める。
そして、男は思いっきりその石をメアリーに向かって投げた。
石は風を斬って、真っ直ぐにメアリーに向かって飛んでいく‥。
「キャアッ!!」
石はメアリーの首筋に命中し、彼女はその衝撃で道路に勢い良く倒れた。
「ふぅ‥面倒かけやがって。さぁ戻るぞ」
「銃弾じゃないだけマシだと思え」
男達は各々道路に伏せているメアリーに投げかけ、取り押さえる。
…しかしその時
「何だ!!」
突如と発生した車のライトが男達の目に直撃した…。
続く