別れを告げた後で、他の女に会うなんて、僕は最低だな…。
春香が待つ家へ…。
これで良かったんだ…
心に言い聞かせる。
答えなんて、わかんないもんだ。
僕が答えを出したから、あかねがそれに答えただけ。
それでいいんだ…。
「おかえり!」
ドアを開けると、春香はいつものように玄関まで来た。
「あかねに話したの?」
春香は真っ先にその話しを聞いてきた。
「ん?あぁ、話した。」
春香の顔が見れない。
「なんでこっち見ないのよ!」
春香のヒステリーがはじまる。
いつもこうだ。
「別れたんだから、いいじゃないか…。」
春香のヒステリーは嫌いだ。
でも、僕は春香を選んだんだ。
疲れた顔をすると、春香はすぐに泣く。
それもイヤだけど、僕は春香を選んだ。
「あたしの事話したの?」
「話さなくても、本人は納得してるんだ。それでいいんだ…。」
視線が痛い…。
春香の方を見る。
「話してないのね…。」
「あぁ、話してない。」
「そう…。そうだと思って、あかねにあたしが言っといた。」
「!」
なんて女だ…。
だから、あの時あかねは
『それだけじゃないでしょ?』
と聞いてきたんだ。
あかねはそれを知っていたんだ。
知っていたのに、僕を責める事なく、身を引いたんだ…。
僕はなんて事をしたんだ…。
なんてバカなんだ…。
「ホントの事言わないから悪いのよ。」
そうだ…。ホントの事を言わない僕が悪いんだ…。
「そうだな…。」
ホントにそうだ…。
「あたしだって…言ってくれなくて、ずっと不安だったんだから…。」
泣きながらうずくまる。
春香の気持ちもわからなくない。
二股掛けていた僕は、どっちつかずの毎日だった…。
だから今、
ものすごく二人に対して、罪悪感が募るばかりだった…。
いや…。
あかねに対して…。