奇跡 2章 3

木村蜜実  2009-08-06投稿
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別れを告げた後で、他の女に会うなんて、僕は最低だな…。

春香が待つ家へ…。

これで良かったんだ…

心に言い聞かせる。

答えなんて、わかんないもんだ。
僕が答えを出したから、あかねがそれに答えただけ。

それでいいんだ…。

「おかえり!」

ドアを開けると、春香はいつものように玄関まで来た。

「あかねに話したの?」

春香は真っ先にその話しを聞いてきた。

「ん?あぁ、話した。」

春香の顔が見れない。

「なんでこっち見ないのよ!」

春香のヒステリーがはじまる。

いつもこうだ。

「別れたんだから、いいじゃないか…。」

春香のヒステリーは嫌いだ。
でも、僕は春香を選んだんだ。

疲れた顔をすると、春香はすぐに泣く。
それもイヤだけど、僕は春香を選んだ。

「あたしの事話したの?」

「話さなくても、本人は納得してるんだ。それでいいんだ…。」

視線が痛い…。
春香の方を見る。

「話してないのね…。」

「あぁ、話してない。」

「そう…。そうだと思って、あかねにあたしが言っといた。」

「!」

なんて女だ…。

だから、あの時あかねは
『それだけじゃないでしょ?』
と聞いてきたんだ。

あかねはそれを知っていたんだ。
知っていたのに、僕を責める事なく、身を引いたんだ…。

僕はなんて事をしたんだ…。

なんてバカなんだ…。

「ホントの事言わないから悪いのよ。」

そうだ…。ホントの事を言わない僕が悪いんだ…。

「そうだな…。」

ホントにそうだ…。

「あたしだって…言ってくれなくて、ずっと不安だったんだから…。」

泣きながらうずくまる。

春香の気持ちもわからなくない。

二股掛けていた僕は、どっちつかずの毎日だった…。
だから今、

ものすごく二人に対して、罪悪感が募るばかりだった…。

いや…。

あかねに対して…。



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