奇跡 2章 6

木村蜜実  2009-08-06投稿
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退院をして、僕は前の会社を辞め、実家へと帰ってきた。

前の会社と言っても、何やってたんだかわかんないけど…。

新しい仕事は、楽しい…。とゆいのは嘘で、ホントはイヤな所…。

ストレスも溜まる…。
周りもろくなヤツではない…。

だんだん行くのがイヤになる。

癇癪を起こす僕に、頭を抱える母。

以前の僕もこうだったんだろうか…。

たまに頭が痛くなる。

いろいろ考えてしまうから…。

部屋にいると壁ばかり見るようになった。

精神病院へ行く。

病状は母が知ってる。

僕自身わかっている。

それは心の病気…。

最近思い出した事がある。

僕は『あかね』ではなく、『春香』とゆう女性と付き合っていた事。

二股掛けていた事。

『あかね』を傷つけた事。

あかねは笑顔で僕と別れた事。

僕は、情けない男だった事…。

後悔する事は、前からの僕の性格だ…。

あかね…。
あかねに逢いたい…。

精神科に行ってから、僕は家に引きこもるようになった。

あかねを探しに行きたい。

住所は手帳に書いてある。

行けるはずだ。

でも一歩が踏み出せない…。

怖い。

なにもかもが怖い。

死にたい…。

そうだ…

こんな人生なら、死んだ方がましだ。

事故に遭った時、僕は何故死ななかったんだろうか…。

もう疲れた…。

あかね…、ごめんな。

こんな台詞、前にも言った気がする…。

いや…、あかねには言ってない気がする…。

逢って、僕の気持ちを言わなきゃいけない…。

死ぬ前に…もう一度…。

「達也…。ご飯食べなきゃ…。」

ノックをして部屋に入る母親…。

朝食をテーブルの上に置き、立ち去ろうとする。

「母さん…。」

僕は久々に口を開いた。

母は、驚いた顔をして僕を見る。

「逢いたいと強く願ったら、その人に逢えるだろうか…。」

「達也…。」

「あかねは今、僕に逢いたいと思っているだろうか…。」

窓を眺めながら、僕はボソッと呟く。

母は何も言わず、部屋から出る。

奇跡が起きるなら、僕は明日にでも、あかねを探しに行こう…。

逢わなきゃいけない…。



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