奇跡 2章 <終り>

木村蜜実  2009-08-06投稿
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また、朝になる。

僕はナイフをポケットにしまう。

自分が死ぬ為の道具。

あかねに逢いに行く。

けど、やっぱり外は怖い。

男なら、平気なはず…。

しばらく床にへたりこむ。

また壁を見る。

下でチャイムの音。

誰かきたのか…。

出るのは、『お客』が帰ってからだ…。

また壁を見る。

しばらくまた考える。

「達也、入るわよ…。」

ドアを3回ノックする音。
ドアが開く…。

僕は母親が飯を持ってきたのだと思い、そっちを見なかった。

「達也、あかねさんよ…。」

「あかね…?」

僕の所に来たとゆうのか…?

ドアの向こうには、見覚えのある顔…。

「た…達也…。」

顔も声も…。
あかねだ…。

スッと立ち上がり、ゆっくりあかねの方へ歩く。

サラサラの髪、この感触、この香り、全てがあかねだ…。

「あかね…。」
そう呟いて、細い体を抱きしめた。

「覚えているの?私の事…。」

「…ん。覚えてる…。逢いたかった…。あかね…。」
あかねは僕の腕の中で声を出して泣いた…。

「あかねにずっと謝りたかった…。あの時お前の事を捨ててしまって…。ずっと後悔してたんだ…。離れて気付いたんだ…。俺は…あかねが1番大事だって事が…。」

僕はあかねの頬に手を当てた…。

「あかね…愛してる…。」


言えた…。
ずっと言いたかった言葉。

僕の中で奇跡が起きた…。

あかねにもう一度逢うとゆう奇跡が…。

もう言えたから、
もう、僕は後悔がなくなった…。

死ねる…。

いっその事…、あかねも一緒に…。

僕は永遠にあかねのそばにいたい………。

僕は、何を考えているのだろう…。

ポケットに入れておいたナイフを取り出し、あかねの背中に刺す。

「ごめん…あかね…愛してるから、俺と一緒に死んでくれ…。」

口から血を吐いて、僕を見た。

「達也…イヤだよ…達也…。」

口には赤い血が流れる。

あかねの力が抜けて行く。
僕も行かなきゃ…。

これで、永遠にあかねと一緒だ…。

自分で喉を刺す。

母が叫ぶ。

こんなのは痛くもない。

ずっと、あかねと一緒にいられるのなら…。

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