また、朝になる。
僕はナイフをポケットにしまう。
自分が死ぬ為の道具。
あかねに逢いに行く。
けど、やっぱり外は怖い。
男なら、平気なはず…。
しばらく床にへたりこむ。
また壁を見る。
下でチャイムの音。
誰かきたのか…。
出るのは、『お客』が帰ってからだ…。
また壁を見る。
しばらくまた考える。
「達也、入るわよ…。」
ドアを3回ノックする音。
ドアが開く…。
僕は母親が飯を持ってきたのだと思い、そっちを見なかった。
「達也、あかねさんよ…。」
「あかね…?」
僕の所に来たとゆうのか…?
ドアの向こうには、見覚えのある顔…。
「た…達也…。」
顔も声も…。
あかねだ…。
スッと立ち上がり、ゆっくりあかねの方へ歩く。
サラサラの髪、この感触、この香り、全てがあかねだ…。
「あかね…。」
そう呟いて、細い体を抱きしめた。
「覚えているの?私の事…。」
「…ん。覚えてる…。逢いたかった…。あかね…。」
あかねは僕の腕の中で声を出して泣いた…。
「あかねにずっと謝りたかった…。あの時お前の事を捨ててしまって…。ずっと後悔してたんだ…。離れて気付いたんだ…。俺は…あかねが1番大事だって事が…。」
僕はあかねの頬に手を当てた…。
「あかね…愛してる…。」
言えた…。
ずっと言いたかった言葉。
僕の中で奇跡が起きた…。
あかねにもう一度逢うとゆう奇跡が…。
もう言えたから、
もう、僕は後悔がなくなった…。
死ねる…。
いっその事…、あかねも一緒に…。
僕は永遠にあかねのそばにいたい………。
僕は、何を考えているのだろう…。
ポケットに入れておいたナイフを取り出し、あかねの背中に刺す。
「ごめん…あかね…愛してるから、俺と一緒に死んでくれ…。」
口から血を吐いて、僕を見た。
「達也…イヤだよ…達也…。」
口には赤い血が流れる。
あかねの力が抜けて行く。
僕も行かなきゃ…。
これで、永遠にあかねと一緒だ…。
自分で喉を刺す。
母が叫ぶ。
こんなのは痛くもない。
ずっと、あかねと一緒にいられるのなら…。