セピアカラー(2)

優風  2009-08-06投稿
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・「先生が来たぞ」
誰かがそう言うと席を離れていた者も自分の席に着いた。最後の授業も終えて生徒達は嬉々してた。それから三十代前半の女性教師が教室に入って来た。そして、その日の日直二人が前に出て“帰りの会”が始まった。

・その日の“帰りの会”は何事もなく順調に進み最後の先生の話しになった。
「皆が卒業するまで後、二ヶ月を切りました。そこで先生から提案があります。提案と言うのは卒業アルバムに載せる写真の一つとして好きな異性と一緒に写す事を考えました」
そう言うが早いか教室から“えー”という声が上がった。
「そんなの面倒臭いじゃん」ガキ大将の“剛”が最初に口にした。
「そんなの別にいないし」
口々に男子から文句の声が上がった。三十代前半の“永井先生”は手をパンパンと叩いて、
「静かにぃ」
と、言った。それから続けて、
「無理にとは言いません。撮りたい人だけ言ってきたら先生が撮ります。自由参加って形でやります」
男子はブーブー文句を言ったが女子からは“ねぇ、誰と写す?”なんてひそひそ話しを始めた。

・帰り道もその話題が中心だった。
「あんなのないよな。一種の告白だぜ」
“原田”がグチる。
「そうだよな。別に撮りたくないし」
“和行”も口をそろえる。「“佑人”はモテるから女子からたくさん言い寄られるんじゃない?」
何も言わず、佑人が照れ隠しに頭をかく。
「“貴士”はどうする?誰かと写すの?」
和行が僕にフッてきた。
「いや、別に特には」
「女子はなんだか盛り上がってたな」
「女はこういうの好きなんだよ。先生も女だからこんなの考えたんだよ」
「だよな」
「それより後で俺の家に集合な。ゲームやろうぜ!!」
そう話しながら僕達は家路を辿った。

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