「いいか!! 絶対に見つけるんだ!」
ゲイリーのけたたましい声が、召集された幹部達の耳を貫いた。
沈黙を貫く幹部達にゲイリーは続ける。
「お前ら! 街に散らばっている仲間達全員に伝えろ。メアリーを‥メアリー・スミスを見つけ次第、必ず捕まえろとな。そして一緒にいる男もだ。分かったか!」
ゲイリーの迫力に押され、沈黙していた幹部達はようやく口を開いた。
「了解」
他の者達も、口を揃えて言った。
「明日の朝、お前ら幹部はこの街を包囲しろ。突破口を無くすんだ。分かったな?」
「分かりました」
他の者達も同様に、頷く。
「ふぅ‥何ムキになってんだぁ? ボスの野郎は。たかが女に逃げられたぐらいで」
帰り際、幹部の男が仲間に言った。
「ボスにとっちゃあ、そんぐらいの価値のある女だったんじゃねェのかい?」
「確かに、良い女だぜ。そんじょそこらのハリウッド女優よりよっぽど美人だしなぁ」
「ははっ。言えてるぜ」
幹部達が帰った後、ゲイリーは寝室のベッドへ横たわり、眠りに落ちようとしていた。
そこへ、突如と電話が鳴り響く。
リビングからだった。
「うるせェな‥」
ベッドから起き上がり、リビングのテーブルの上で鳴り響く携帯電話を取る。
「なぁんだ?」
大きくあくびをしながら電話に向かって言った。
『ゲイリー、居所を知っている』
電話は、ゲイリーの右腕とも言える最高の部下ウォーレン・ギブソンからだった。
ウォーレンは、ゲイリーに匹敵する程の極悪非道な性格の持ち主である。
「メアリーのか?」
『ああ』
ゲイリーはニヤリと笑う。
「どこにいる」
『イーストンヒルズのマンションだ。
あの女が、そこへ入っていくのを見た。間違いない、あれはメアリーだぜ』
「何階だ?」
『三階だ。何号室かまでは、流石に知らないがな』
ゲイリーは笑みを浮かべながら、ソファに腰を降ろした。
「流石、俺が見込んだ男だぜ」
『どうする?』
「今は何もしなくて良い…明日の朝、部下達をそのマンションに向かわせる。
ウォーレン、お前も行くんだ」
『了解。それでは』
ウォーレンはそう言って、電話を切った。
続く