セピアカラー(6)

優風  2009-08-06投稿
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・バレンタインの日が訪れた。どうやら剛は今日、詩織に一緒に写真をとってほしいと伝えるらしい。何故、よりによってバレンタインなのか。その理由は逆バレンタインにあった。日本では女性から男性へアプローチする日と定められているが他の国では関係なく男性から女性へ贈り物をしたりアプローチするそうなのだ。それをTVで見て知った剛は逆バレンタインとして実行するというのだ。“チョコももらえずに断られたら爆笑だな”と寂し気に言った剛に“大丈夫だよ”とファイトのエールを僕は送った。いや、自分自身にも言い聞かせていたのだ。僕自身も美香に言うつもりでいたからだ。だが、そのタイミングを伺いながらもチャンス…いや、勇気がなかった。好きという事が相手にバレるのも恥ずかしい上に小学生で年下を好きになったというのがまたネックだった。

・給食を終えてグラウンドに行こうとした所を剛に呼び止めれた。
「今から伝えようと思う」
真面目な顔を僕に向けてそう言った。それから“この場に来るように伝えてほしい”とも言った。僕も、
「分かった」
と、言って教室に戻った。
・詩織は他の女子とおしゃべりに話を咲かしていた。僕は、“廊下で剛が待ってるから行ってやってくれ”と伝えてまた教室を出た。廊下に出た時、チラリと剛に目をやると落ち着いた様子で窓の外をじーと見つめていた。覚悟を決めた感じに思えた。

・それから昼休みが終わり掃除の時間を迎えた。僕の心臓はいつもに増してバクバクと激しく波打っていた。僕も剛の行動に刺激を受けて逆バレンタインを実行しようとしてたからだ。





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