『大人なんてだいきらい』
心で叫びながら逃げたあたしはまだ16歳だった。
走って走って、
逃げ出した。
追ってくるのは過去の影。
戻りたくない
絶対絶対
戻りたくなんかない!!
目に涙を溜めて
行き着いたのは
君と出会った優しい場所。
小さな町の中学校。
君が笑ってくれたあの教室。
そこに行った。
ぺたんと座り込み
声を上げて泣いた。
大人を許さない。
俯せて泣いている。
その間、頭に浮かんだのは
幸せな日々。
君の声。
「僕は大丈夫だよ。」
……やめて……
「…よりも………なにより、凜がいなくなっちゃうほうがよっぽど辛いよ。」
……思い出さないで……
「危ないからこっちおいで。」
「…なんでそんな…?」
「ごめん…約束……守れない…ね。」
プツン………
あたしの意識が途絶えた。