ポジティブ・アクション21

ミッシェル  2009-08-06投稿
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「終わったぞ」

駆け寄るメアリーに、スティーブは微笑んで言った。

「ありがと」

彼の瞳を見つめながらそう言うと、メアリーはゆっくりとスティーブの胸に顔を沈めた。

「ははっ。どうした?」

メアリーは自分でも気付かぬ内に、その細く華奢な腕をスティーブの背中に廻していた。

「あっ、ごめん‥何してるんだろ私」

そう言って彼から離れようとしたが、その時、自分の背中に暖かい物を感じた。

――スティーブの暖かい腕だ。

スティーブは両腕を彼女の背中に廻し、離れようとする彼女を離さなかった。

「良いんだよ」

スティーブはそれだけ言い、メアリーを優しく抱く。

「スティーブ‥」

二人はお互いの瞳を見つめ合うと、ゆっくりと唇を近付けた。

二人は瞳を閉じ、抱き合いながら暖かいキスを交わす。

やがて唇を離し、二人は再びお互いの瞳を見つめ合った。

しばらく沈黙が続く中、先に口を開いたのはスティーブだった。

「久しぶりの感触だ。最高だよメアリー」

そう言って、メアリーの頬を優しく撫でる。

「スティーブ‥あなたが好きだわ」

メアリーは、彼への想いを伝えた。

スティーブは、頬を撫でる手を彼女の肩へと移動させると。

「ふふっ。どうやら、俺もそのようだ」

そう言って、ニコッと彼女に笑った。

メアリーはとても嬉しかった。

――これでやっと自由になれる。

メアリーはスティーブに想いを伝える事により、ゲイリーという呪縛から解放されたような気がしたのだった。

「宜しく“相棒”」

彼はそう言って彼女の頭を撫でると、背を向け歩き出した。

床には、2人の男が転がっている。

先程のた打ち回っていた男は、既に気絶していたようだ。

「待って、どこに行くの?」

背後からメアリーが言った。

「どっか。ここにいるのはマズい。早く別の場所に行かないとな。さっ、行こうぜ」

メアリーは頷き、彼に続いた。

(メアリー、お前は絶対俺が守ってやるぜ。何があっても)

スティーブは心の中で決心した。


続く



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