「終わったぞ」
駆け寄るメアリーに、スティーブは微笑んで言った。
「ありがと」
彼の瞳を見つめながらそう言うと、メアリーはゆっくりとスティーブの胸に顔を沈めた。
「ははっ。どうした?」
メアリーは自分でも気付かぬ内に、その細く華奢な腕をスティーブの背中に廻していた。
「あっ、ごめん‥何してるんだろ私」
そう言って彼から離れようとしたが、その時、自分の背中に暖かい物を感じた。
――スティーブの暖かい腕だ。
スティーブは両腕を彼女の背中に廻し、離れようとする彼女を離さなかった。
「良いんだよ」
スティーブはそれだけ言い、メアリーを優しく抱く。
「スティーブ‥」
二人はお互いの瞳を見つめ合うと、ゆっくりと唇を近付けた。
二人は瞳を閉じ、抱き合いながら暖かいキスを交わす。
やがて唇を離し、二人は再びお互いの瞳を見つめ合った。
しばらく沈黙が続く中、先に口を開いたのはスティーブだった。
「久しぶりの感触だ。最高だよメアリー」
そう言って、メアリーの頬を優しく撫でる。
「スティーブ‥あなたが好きだわ」
メアリーは、彼への想いを伝えた。
スティーブは、頬を撫でる手を彼女の肩へと移動させると。
「ふふっ。どうやら、俺もそのようだ」
そう言って、ニコッと彼女に笑った。
メアリーはとても嬉しかった。
――これでやっと自由になれる。
メアリーはスティーブに想いを伝える事により、ゲイリーという呪縛から解放されたような気がしたのだった。
「宜しく“相棒”」
彼はそう言って彼女の頭を撫でると、背を向け歩き出した。
床には、2人の男が転がっている。
先程のた打ち回っていた男は、既に気絶していたようだ。
「待って、どこに行くの?」
背後からメアリーが言った。
「どっか。ここにいるのはマズい。早く別の場所に行かないとな。さっ、行こうぜ」
メアリーは頷き、彼に続いた。
(メアリー、お前は絶対俺が守ってやるぜ。何があっても)
スティーブは心の中で決心した。
続く