瀧口先生が、警察と保健所に連絡を入れて、ある程度した頃、まず、警察官が最初にやってきた。
瀧口先生は、事前に、最初に現場を目撃したという生徒に状況を説明させ、続けて瀧口先生自身が、警察官に事情を話した。
あとは、野次馬になっている生徒たちを廊下から追い出し、警察官が駆けつける前にやってきていた教頭先生を交え、現場検証を開始した。
改めて今度は弓道場。
私はある程度、射撃を続け、感覚が自分の思う所まで研ぎ澄まされたのを感じた辺りで、一旦、休憩を入れる事にした。
「おつかれー。うんうん、いい絵がいっぱい撮れたかも。なんか沙羅ちゃん、弓構えてる時、別次元の存在の人とかに見えちゃう。あ…変とかじゃなくて、かっこいいって意味で、ね。」
「そうですか?」
あまり自分では気にした事もなかったが、弓を射っている時は、精神を集中するので、多分、真剣な表情になっているのだろう。
そう思うと、自分が弓を構えている時の表情がどんなものか気になって仕方ないので、私は、高野さんに、「写真が現像できましたら、私にも見せてくださいね。」とお願いした。
「もっちろん!できたら真っ先に、沙羅ちゃんに見せるから。」
高野さんはそう言いながら、ニッコリと私に笑って見せた。