スティーブは拳銃を構えながら、玄関へと歩いていく。
その後ろから、メアリーも続いた。
――その時。
「ふふっ、随分遅いと思ったら、やはりこの様か‥使えねェ野郎共だ」
一人の長身の男が、廊下から2人の前へと姿を現した。
その手にはやはり拳銃が握られており、銃口を2人に向けている。
「あなたは‥ウォーレン!」
メアリーが、スティーブの背後から言った。
「ウォーレン? ああ、知ってるぜ。
ルブランスのNo.2か。全く、厄介な野郎が出てきたもんだ」
2人はウォーレンを見据える。
「俺もお前を知ってるぜ」
スティーブは鼻で笑うと。
「ほぉ、俺も少しは有名になったか」
笑うスティーブに、ウォーレンは続けた。
「伝説のバウンティハンター、“デイビット・ロジャース”の息子だろ?」
それを聞いたスティーブから、笑顔が消える。
「そうだ。だからどうしたんだ?」
「そんな偉大な父の息子が、ボスの女を寝取るとは…親父が知ったら泣くぜ」
スティーブは溜め息をつき、鋭い眼光をウォーレンに飛ばす。
「寝取っただと? ざけんな!
お前…知らねぇだろ。メアリーがどんなに辛い思いをしていたか」
「へっ。知らねェな。それよりメアリー、今ならまだ間に合うぜ。早くゲイリーの所へ戻れ!」
しかし、メアリーは顔をしかめながら
「いやよ! ゲイリーとはもう終わったの! 私は彼と居るわ!」
そう言って、スティーブの腕を握った。
「くぅ…お前、ゲイリーの恩を忘れたのか‥。馬鹿な女だぜ。ゲイリーと暮らしてた方がこの先ずっと幸せで、裕福に暮らしていけるのに、そんな何の力も無い男と居たって先が見えてるぜ」
それを聞き、メアリーの怒りは頂点に達する。
「ふざけないでよ! 私は裕福だとかそんなのどうでもいいの! 私は、私は自由が欲しいのよ!あんな残酷で‥凶悪な男と一緒にいるなんてもう嫌なの」
ウォーレンはあきれかえりながら
「ふぅ‥もう無駄だな。お前らは完全にゲイリーを敵に回した」
ウォーレンはそう言って、引き金に指をかけた。
――その時。
一人の若い男が、ウォーレンの背後から現れた。
続く