三人はマンションの外へ出て、裏の駐車場へと来た。
そこには、スティーブの愛車であるイエロータクシーが駐車されている。
「マジで行くのかよ」
運転席の横に立つスティーブに向かってアレックスが言った。
「アレックス‥。お前を巻き込む訳にはいかない。しばらくはお別れだ」
アレックスは憂鬱になりながらも、しっかりとスティーブを見つめる。
「そうか‥。死ぬなよ」
「当たり前だ。それじゃ、またな。
近い内にまた会おうぜ」
するとメアリーがアレックスの元へと駆け寄り、彼の頬に優しくキスをした。
「わぁお。天国にいる気分だぜ」
アレックスは顔を赤らめた。
「あの時、助けてくれた時のお返しよ」
「そ、そうか。ありがとよメアリー」
――その時。
スティーブは、車道に止まる一台のローライダーからこちらを見つめるギャングの姿を捉えた。
「早速かよ。メアリー、行くぞ」
「えぇ」
2人はすぐに車に乗り込み、エンジンをかけた。
「じゃあな! ケニーさんによろしく言っといてくれ」
「おう! 幸運を祈るぜ兄弟!」
アレックスは親友との別れを惜しみながらも、彼は大きく手を振った。
「奴らだ! 追うぞ!」
ギャングは車を発進させ、車道へと飛び出したスティーブ達を後ろから追跡した。
「来たぜ」
バックミラーで後ろを確認してみると、今の所追って来ているのは一台だけのようだ。
だがいずれ、奴らは仲間を呼び寄せ、直ぐに沢山集まって来るであろう。
スティーブは勿論、そうなる事は十分分かっていた。
「メアリー! 頭下げてろ!」
次の瞬間、窓ガラスが音を立てて粉砕し、車内へと破片が飛散する。
「キャッ!!」
メアリーは両手で頭を抱え、顔を伏せた。
スティーブとギャングの激しいカーチェイスが繰り広げられ、街は大惨事となった。
走行していた車が慌ててハンドルを切り、次々と車がクラッシュしていく中、両者は勢いを緩める事なく、激しくぶつかり合う。
「ちぃ、そろそろ終わりにしてやるか」
そう言って、スティーブはローライダーに横付けし、拳銃を窓から構えた。
そして狙いを定め、ローライダーのタイヤを撃ち抜く。
「野郎!!」
続く