交通事故。
人間の死因として身近なものにも関わらず、人々はソレを他人事のように思っている。
勿論それは木村明人(きむらあきと)にも例外ではなく、自身がソレを体験するなんて考えてもいなかった。
18年。
明人が今まで過ごしてきた日々は、唐突に、理不尽に、そして呆気なく幕を閉じた。
「なんで…まだ18年しか生きてないじゃない…!まだこれからなのになんで…っ」
聞こえてきたのは、しゃくりあげたような泣き声。
わずかに広がった視界には白い天井。視線を左に揺らすと、年配の男性にすがりつく女性の姿。
明人の父親と母親だった。
「(…どういうことだ…?)」
気だるい体を起こして、眠気を飛ばすように頭を振る。
「明人…まさか父さんより先に…っ、ぬなんてな…」
父が呟くように言葉を繋げる。
その視線は変わらず、先程まで明人が頭を乗せていた枕を見つめていた。
訳が分からない。
目覚めた自分に反応しない両親に明人は文句の一つでも垂れようと、ベッドから降りるところで停止した。
明人が今まで寝ていた場所に人が寝ている。
それは誰よりも良く知っている見慣れた顔。
美白を通り越した白い顔色をして目を瞑る
自分自身の姿だ