それにより、バランスを失ったローライダーはガラスや車の破片を飛び散らせながら車道を凄い勢いで転がっていき、やがて逆さになって停車した。
「わぁお!! やったぁ!」
メアリーは歓喜の声を挙げ、スティーブとハイタッチした。
「うぅ‥」
スティーブ達が居なくなって静寂に包まれたリビングで、ウォーレンはゆっくりと目を開けた。
ウォーレンは起き上がって玄関に続く廊下の方を見てみると、そこには2人のギャングがそれぞれ頭と喉を抑えながら壁に寄りかかっていた。
「お前ら‥生きていたのか」
ウォーレンの言葉に、2人は一斉に彼に顔を向ける。
「あ、ウォーレンさん‥あなたも。良かった‥」
ウォーレンは顔面に走る激痛に耐えながら、2人の元へと歩み寄る。
「くぅ‥何だこの気配は。誰かがこっちへ向かって来ている」
ウォーレンはそう言って、玄関の方を見据えた。
「えっ?」
やがて外の廊下から足音がはっきりと聞こえ、その足音は彼らがいる部屋の前で止まる。
「来るぞ‥一応、銃を拾っておけ」
ウォーレンがそう言って床に転がる銃を拾い上げると、2人もそれに続いて拾い上げた。
緊張が高まる中、三人は玄関の扉の方を見据える。
…そして。
扉が勢い良く開けられ、そこから5人程の男達が悠々とこちらへ向けて歩を進める。
それを見て、三人が思わず銃をそいつらに向けて構えると、まさにそれは一瞬の出来事だった。
突如と、ウォーレンの側にいた2人のギャングがその場に崩れる。
やがて彼らが転がる床は徐々に赤く染まっていき、大きな血だまりを作った‥。
「お前は誰だ?」
そう言って驚愕するウォーレンの前に現れたのは、長髪をオールバックにした茶色いコートを着た男だった。
…その手にはショットガンが握られている。
しかし、ウォーレンの視線は別の場所に集中していた。
それは、男達の腕や首に彫られているタトゥーであった。
男達の腕や首にはみんな共通して、交差した二挺の大鎌のタトゥーが彫られている。
そのタトゥーを見た時、ウォーレンの顔に再び驚愕の色が浮かんだ。
「そのタトゥー…まさかお前ら‥!?」
続く