ポジティブ・アクション27

ミッシェル  2009-08-09投稿
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「何故ここにいる‥」

長髪の男はそう言って、ウォーレンに詰め寄った。

その男の背後に並ぶ者達は、皆微動だにせず、ただ立ち尽くしたままウォーレンを見つめている。

男達の鋭い視線を感じながら、ウォーレンは答えた。

「あ、あんた等こそ何しに来た」

その言葉に、男は顔をしかめる。

「‥スティーブン・ロジャースを探しに来た。奴はどこだ? お前何か知っているんだろ」

「知らねぇ‥。だが、これだけは言える。奴は今、俺達ルブランスから逃げている‥」

男は怪訝な顔をしながら更に尋ねた。

「何? 何故お前らのような烏合の衆が奴を追っているんだ」

ウォーレンは、男の言った“烏合の衆”という言葉が気に食わなかったのか、思わず声を荒げた。

「てめぇ‥俺達を侮辱するのか!!」

そう言って、男を睨み付けた時には既に彼の拳は男の顔面に向かっていた。

だが男は身じろぎもせず、左の掌でウォーレンの拳を受け止める。

次の瞬間には男の蹴りがウォーレンの脇腹に直撃し、彼はそのまま床に倒れた。
「うぅ‥」

男は悠々と、うずくまるウォーレンを見下ろす。

「血の気の多い野郎だ。スティーブ‥スティーブはどこに行った!!」

ウォーレンの顔面を蹴り、男は物凄い剣幕で怒鳴りつけた。

「うぅ‥し、知らねぇ‥ホントに‥知らねぇ‥」

口から血を流しながらも、ウォーレンは必死に訴えた。

「こいつ…」

男は小さく呟くと、もう一発ウォーレンの顔面に蹴りを喰らわし、彼に背を向け歩き出した。

「もう良いんですか?」

後ろに並んでいた男達の一人が、彼に言った。

「ああ。あいつは何も知らん。俺には分かる…。行くぞ」

彼がそう言って玄関の方へ歩いていくと、その後ろから男達も続いて歩き出した。

やがて彼等の姿は消え、ウォーレンは安心したのか床に仰向けで転がり、天井を見つめた。

――その時だった。

「うぅ‥ウォー‥レン‥」

彼を呼ぶ、かすれた声が聞こえた。

ウォーレンは起き上がり、その声の方に向かうと、そこには2人のギャングが目を開けた状態で倒れていた。

――何と彼等は生きていた。

「お前ら‥流石だな。大丈夫だ、直ぐに助けてやる」

彼は2人の体を支え、歩き出した。

続く

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