「鈴!」
名前を呼ばれたと同時に叩かれたような気がした。
(痛い…)
声には出なかったが、かなり痛かった。
「起立。」
(…?)
鈴にはその言葉の意味を理解するのに10秒はかかった。
「!?」
やっと理解すると同時に飛び上がる。
それは授業開始の号令だった。
「鈴大丈夫?」
号令が終わった後、歩美が小声で聞いてきた。
「…うん。」
鈴は今までにあったことを整理しようとしていた。
(そういえばさっきフったんだよね。それであたし泣き疲れて…。)
ここまで思い出せば十分だった。
(あたし何で泣いたんだろう。)
自分に問う。
(まだ柚希が好きだから?……いや、それはないな。)