「じゃあ私こっちだから、じゃあねぇ〜!」 春香はニコニコしながら手をふった。 由紀も笑顔で手をふった。 「なんか2人で帰るの久しぶりだね。」 しばらくして由紀が口を開いた。 「そういやそうだな。小学校のとき以来か。」 修介と由紀の家は隣同士で小学校のときはよくいっしょに帰っていた。3年ぶりくらいだ。 2人がしばらく歩いていると前方に男が座りこんでいた。 ゼェゼェと息を荒げている。 2人は不審に思い、目をあわさず通り過ぎようとした。 「……お〜い…、くれよ…薬…くれよ……俺死んじゃうよぉ…」 男はゆっくり立ち上がりこっちに向かってきた。 「あぁ?何だこいつ?」 修介は男を睨んだ。 「ねぇ…早く行こうよ。」 由紀はおびえていて、早くここから逃げたそうだった。 そのとき「おい!お前!そこを動くな!」 3人の警官が叫びながらむこうから走ってきた。 「君達、大丈夫だったか?」 警官の1人がこちらに気づき話しかけてきた。 「は…はい、私達は大丈夫ですけど…あの人は…?」 由紀は警官に聞いた。 「薬物中毒だよ。このへん、最近多いんだよねぇ。君達も気をつけて。」 そういって警官は男を連れていった。 「お前、ほんとビビりだな。」 修介は鼻で笑いながら言った。 「ビビってない…!いいかげんバカにするのやめてよぉ。」 またいつもの会話が始まった。