「何時だろう?」
寝苦しい蒸し暑さに枕元の携帯電話を見た。
「2時か!暑いなぁ」
それから程なく涼しい風が「あぁ気持ち良い!」眠いが寝てはいない。そんな意識のなか「このまま、朝まで眠りたい」
足元がやけに涼しく子供の頃の川遊びの夢が見えて来た。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
誰かの声が夢の中から呼んでいる。
仁は一人暮しで兄弟はいない
朝眼が覚めて「なんでだか川の夢見た」
シャワーを浴び仕事へ行った。
次の日も寝苦しい夜だった。また足元が涼しくなり胸まで冷たさが来た。
「助けて!助けて!」
仁は記憶を取り戻した。
小学生になる前にキャンプに行き、そこで溺れたのだ。
だがなぜか記憶がない。
また暑い夜がやってきた。
足元から今度は一気に頭まで冷たくなり、息もできない。
「やっと見てくれたね兄ちゃん!あの時はまだ力が無く邪魔が入ったけど。今度は連れていくよ」
前世で双子は呪いとされ、人知れず葬り去られた。しかし寂しさの余り水の夢を利用し、井戸から捨てられた我が身を認めて欲しく強い力となって再び現れた。 ベッドはびしょ濡れだった。