ハーフムーン (60)

 2009-08-11投稿
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アルバイトがマスターに言った。
「どうだい?今回マスターをやってみて。勉強になったか?」

「はい社長!今回『スナックメラミン』そして『カフェパンデミック』のマスターを演じさせていただいて非常に勉強になりました。将来は本当のマスターになれるよう日々精進します」

「ウム…よし。まずは、私が演じたように、ティッシュ配りから始めてくれ」

二人のやり取りを一部始終見ていたミユキは“労使逆転”のその展開に、頭の整理がつかなかった。

だが、そんな事はどうでも良いと思い直したミユキは、座敷の奥のテーブルに目をやった。

そこでミユキの視界に入ったのは、例の明日香という女性だった。酒が回っているせいか、かなり顔が赤い。

酔っ払っている明日香の手が、右隣りの男の肩に伸びた。

その肩の主は、なんとマモルだった。

――あの明日香という女…狙いはショウでは無く、マモルだったの?

ミユキの心に眠っていたジェラシーが蘇った。

その時だ。

「ダーリン大好き」
明日香が今度は左隣りの男に抱きつき、キスをした。

その男はなんと、あの太ったバスの運転手だった。

そして太った男は言った。
「すんません…今日は妻がすっかり酔っ払ってしまいまして」



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