午後1時を廻り、何とかギャング達の追ってから逃れたスティーブ達はようやく落ち着きを取り戻していた。
殺風景な景色が延々と続く中、スティーブはひたすら幹線道路を走る。
「ふぅ、お腹空いたぁ」
お腹をさすりながら、メアリーは言った。
そんな彼女をスティーブは横目で見ると、
「我慢しろ。もう少しだ」
そう言って、ダッシュボードの上に転がっているサングラスをかけた。
「ねェ。私、あなたの名前を聞いてまさかとは思ったけど、あなたの父親が本当にデイビッド・ロジャースだとはね。驚いちゃった」
メアリーは目を輝かせながら、スティーブに微笑んだ。
デイビッド・ロジャース。
彼はスティーブの父親であり、伝説のバウンティハンター(賞金稼ぎ)として世に知られている男である。
彼は世界を股に掛けて犯罪者を追跡し、多くの犯罪者達を捕まえてきた。
その数は何と、2500人以上に上ると言われる。
彼の活躍は直ぐに世界中に知れ渡り、彼は多くの人々からヒーローと呼ばれ、尊敬されていた。
だが彼は3年前、肺癌によりこの世を去った。
それは余りにも衝撃的で、多くの人々を驚愕させた。
そして、息子であるスティーブの心にも大きな傷が出来たのだった‥。
「よし、見えてきたぜ」
道路沿いには、ガソリンスタンドと一軒のマクドナルドがぽつんと建ち並んでいた。
やがて彼は車を駐車場に止め、お腹を空かすメアリーと共にマクドナルドへと入っていった。
「うーん、美味しい」
ハンバーガーを頬張りながら、メアリーはとても幸せそうな表情を浮かべた。
「おいメアリー、それ4個目だぞ。食い過ぎじゃないか?」
次のハンバーガーに手を伸ばすメアリーに、スティーブは思わず言った。
しかし、彼女は気にする様子もないままハンバーガーを手に取り、包装紙を剥がし始める。
「だって美味しいんだもん。スティーブまだ2つしか食べてないよ。うふ、もっと食べなよ」
そう言ってハンバーガーを頬張るメアリーに、スティーブは呆れた表情を浮かべるのだった。
続く