長い長いトキの中――
暗い暗い闇の中にいた僕は――
夢を見た。
それは、遥か遠い昔の記憶。
君は綺麗なアゲハ蝶で、
僕は、いつも君の美しさに見とれていた。
見れば見るほどに美しい。
そんな美しい君に恋をしてしまった僕は、
なんとかして君を手に入れたいと考える様になった。
君を僕のモノにしてしまおうって。
そっと羽を休めている君に、
僕は、網を振りかざしたんだ。
やったと思った。
これで一生君は僕のモノ。
そう――
夢は、そんな内容だった。
そんな遠い昔の記憶が、
何故、今になって蘇って来たのか。
僕には全く分からなかった。
籠の中に入れられた僕に分かるコトと言えば、
僕はアゲハ蝶に生まれ変わるコトが出来なかったってコトだけ。
人間に生まれ変わった君は、
今、シアワセ?!
人間の世界で生き抜くコトは大変だけれど、
僕は、ずっと祈ってる。
君がシアワセでありますように――