淳から、電話が有った三日後、約一年振りに淳に逢う事になった―\r
淳と逢わなかった、この一年間の間に、私は、すっかり荒み、廃人の様になっていた。
何を決め手に、今まで逢う事を避けていた淳に逢おうと思ったのか―\r
それは、自分でも答えは出なかった。
でも、何故だか突然、淳に逢いたいと思った。
中川との腐った縁を絶ち切る事を私の中で、決めたからなのか―\r
高校生の時、一年前よりも、段々遠い存在になって行く気がする、淳に逢うのは、とてつも無く、勇気が要り、気が引けていた。
色々な気持ちが、交差しながらも、私は、待ち合わせの渋谷に電車で出掛けた。
待ち合わせの当日、早朝から目が覚め、一日中落ち着かなかった。動悸が止まらない。待ち合わせ時間の九時の三時間も前に、渋谷に着いた。
週末の渋谷は、凄い人混みだった。雑踏の中に揉まれると、不安に陥っていた。
何をする訳でも無く、ぶらぶらと街を歩いた。街を歩く自分意外の同世代の人達は、皆、幸せそうに見えた。
流されていてはいけない―\r
自分を持たなければいけない―\r
そう言い聞かせて歩いていた。
自分を奮い立たせては、地に堕ちる様な心境になり、それを繰り返して、時間は過ぎて行った。
その時―\r
私の鞄の中で、携帯電話が鳴った。
淳か・・・。
一年前のあの日、淳の彼女が、別れたく無い、話がしたいと言い、淳は、私との約束を初めて、破った。
その時のトラウマが、私を襲った。
あの日、淳と逢えていたら。
中川に再会しなかったかも知れない―\r
淳に、全部話せていたかも知れない―\r
運命は、今更変えられない。
過去は、無理でも、未来は、自分次第で、変えられる―\r
携帯電話のフリップを開けて着信を確認した。
淳では無かった―\r
胸を撫で下ろしたのも、一瞬の束の間だった・・・。
「はい・・・。」
「香里?俺だけど・・・。今、何処?外だろ?」
凍り付く様な冷たい声―\r
電話の主は、中川だった。
「・・・。」
「今から、いつものホテルで待ってるよ。今日は、記念すべき、三十枚目の写真を香里に見せなきゃ・・・。」
「もう・・・。貴方とは逢えない・・・。」
「別に構わないよ。最初に言った通り、写真は全部、俺が持ってる。後で後悔しても遅いよ?それでも良いなら、俺は、何も言わない。外、歩け無くなっても良いなら、それで良いんじゃ無いかな?脅しじゃ無いよ?最初の約束だからね。」
身体が、一瞬で冷えきり、私は、思わず、電話を切ってしまった―