帰りの船旅も酷かった。
それこそ生きた心地がしないというほどに。
二度目の死を体験しました…(シーラ談)
メイルは
「だいぶお疲れみたいだからな。
出来るだけ揺れないようにするぞ。」
と言ったが正直帰りの方が酷かったように思う。
右へ左への蛇行に加えて荒波のせいか船は上へ下へと跳ねた。
「なんだお前らそんなに疲れてるのか?」
なんとか『メイルの』港に着いた四人がヘバっているとメイルがそう声を掛けてきた。
誰のせいだ…と心の中で毒づくが最早それを音にする気にもならない。
「みなさんは、これから、どうするんですか?」
雪だ。
「俺はキジルに戻る。情報屋を放っておけないからな。
ランス、お前はどうするんだ?教会に戻るか?」
「うーん…。そうなるだろうな。
雪は?」
ランスォールが雪に聞き返すと雪は隣に横たわるイツキを見て答えた。
「私は…イツキとトーレに帰ります。
御神をもう一度作り直すんです。時間は、かかるかもしれませんけど。」
「そりゃいいな。」
「シーラさん…は?」
「そうだなぁ…
旅をしようかな。
何の当てもない、ただ世界を回る旅。」
「一人でか?」
「ええ。
気の向くまま、道のあるままに。」
そう言ったシーラはとても優しい顔をしていた。