ハーフムーン (62)【最終回】

 2009-08-14投稿
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ミユキは、そっと障子を閉めると、ようやくトイレへと向かった。

ショウにも、そしてマモルにも、こちらから話し掛けることはしなかった。


『ハーフムーン』の打ち上げは、まだ続いていた。

中では、亀山がこう喋っていた。
「いや〜それにしても、今回の映画は低予算でしたね〜。出演者は皆、何役もこなすし、抽選会の景品は出演者の私物だし、ミステリーツアーの場所は近くの無人島だし、飛行機はセスナ機だし」

「セスナは操縦してないでしょ…座ってただけでしょ」
酔っ払った明日香が、不意に亀山にツッコミを入れた。

「えぇ、ミユキさんが眠るまで待って、それからボートに乗り換えて、あとはエッチラホッチラと無人島まで漕いで…ほ、ほっといて下さいっ!」
亀山がそう言うと、会場内に笑いが起こった。





その頃、ミユキがサチ子のところに戻って来た。

「ごめんね〜サチ子。遅くなって」
そう言ってミユキは障子を慌ただしく閉めると、再び座り、サチ子の顔を見つめた。

サチ子は静かにニコニコと微笑んでいる。そして、ミユキに向かってこう言った。


「どう?スッキリした?」


「…ウン!」


ミユキも、明るく笑って答えた。




――ハーフムーン・完――

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