僕は逃げました。
怖いから
辛いから
悲しいから。
でも、誰一人として追う者はいませんでした。
面倒だから?
関わりたくないから?
呆れたから?
その精神に腹が立って、僕は物影に隠れて後ろの人達に言ってやりました。
「お前らはあれこれ言い訳して、結局逃げてるだけだ!」
僕は間違ってはいない、そう思っていました。
しかし、予想外の反論が来ました。
「逃げてる奴に言われたくない。
人を責めることで自分の責任を投げ出すな!」
彼もまた、自分が間違ったことを言ったとは思っていません。
そして、二人は口論を始めました。
内容は至って単純、相手を逃げてると批判し合うのです。
その光景を見た第三者が、誰にも聞こえないように呟きました。
「自分達の非を認めることから逃げてる、という点は正しいだろうが、やってることは間違っている」
彼もまた、自分が間違っているとは思いもしません。