俊介は…私を助けようとして死んでしまった。あの時、私を押してくれたのは俊介だった。私は道路に頭を強く打ってしまったが命に別状はなかった。だけど…何もやる気が起こらなくなった。俊介の両親は私を恨んでいる様子はなかった。
私はすぐに退院した。お母さんに少し学校を休んでいいと言われたので、数日間は学校を休むことにした。
何日かして俊介の葬式に出るかお母さんに聞かれたが、私は出ることにした。
葬式ではたくさんの人が泣いていた…。俊介の写真を見たとたんに涙が溢れだしてきた。人の価値は、その人が死んだ時に涙を流してくれる人の数で決まる、と誰かが言っていた。俊介はたくさんの人に愛されていた…。そして私はその場から逃げてしまった。悪いことだとわかっていた。失礼なことだとわかっていた…。だけど…逃げずにはいられなかった。
家に帰って私は大声で泣いた。涙がかれるくらい…泣いた。涙がかれて死んでもいいと思った。だけど、死ねなかった…。神様はそんな簡単に死なせてくれなかった…