即席パーティー!

花中島もなこ  2005-11-22投稿
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 よくある話。いや、よくないか。
 俺は柿本修一。中学三年生。いや、正確には昨日卒業したんだ。だから、今春休み。
 俺は同じクラスの友達、ケンとカッちゃんと一緒に、受験勉強で長い間できなかったロールプレイングゲームを、これでもか! ってくらいやってた。

「ここ、どっちに行ったらいいんだ?」
「やべぇ、もうHPないぜっ!」

 ゲームもいよいよ大詰め。俺らはラスボスが待つ『悪魔の城』にやって来た。

 その時、泊まりがけ・徹夜のゲーム三昧のせいか、目の疲労も親指の痛みもピーク、さらに睡魔まで襲ってきて、俺は意識が遠退いていった。


「ウ……シュウ……!」

 ……誰かが、俺の名前を呼んでる。

「気がついたか!」

 目を覚ますと、ケンとカッちゃんが俺の顔をのぞき込んでいた。

「お前ら、どうしたんだよその格好……」


 ケンは何やらとんがり帽子をかぶっていて、杖を持っていた。まるで魔法使い。カッちゃんは僧侶の格好……。

「俺達、ゲームの世界に来ちまったみたいなんだ!」

――は?


んなバカな。ゲームのし過ぎでついに頭イカれたか……。
しかし、そんな俺もカッコいい鎧とマントを身にまとい、ぶっとい剣を腰に下げていた。まるで勇者……。
 コイツらの話は本当らしい。目の前にはいかにも最後のダンジョンって感じの怪しげな城が……。『悪魔の城』じゃん。
自分たちの置かれた状況に戸惑うかと思えば、二人はかなりやる気だし。

「よし! 魔王を倒しに行くぞ!」


「ってか……何で俺、僧侶なんだよ! 俺だって勇者がよかった」

「文句言うなよ。お前はパーティの回復役を担う大事な役割なんだぜ?」

「そうだけどさぁ……」

いや、もはや問題点はそこではないだろ!

「さぁいくぞ!」

カッちゃんの気合いの入った声。
ケンは杖でカッちゃんの頭を殴った。


「痛ぇ! 何すんだよ!」

カッちゃん、50のダメージ。

「何お前が仕切ってんだよ! そういうのは勇者がやるんだよ!」

えっ?俺?俺がやんの?
面倒くさいなぁ……。でも、楽しそうにはしゃいでいる二人の顔を見ると、そんなこと言えないし……しょうがない、やってやるか。

「さぁ、いくぞー……」

「「 おー!!!!! 」」

なんだこの温度差……。





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