ポジティブ・アクション34

ミシェル  2009-08-17投稿
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「起きろメアリー」

肩を揺さぶられながら、メアリーはゆっくりとシートから起き上がった。

「うーん…せっかく良い夢見ていたのに…うん?…ここどこ?」

窓から外を眺めてみると、彼女の目に飛び込んで来たのはコンクリートに包まれた薄暗い空間。

メアリーは思わず驚愕の表情を浮かべた。

「さっ、下りるぞ。こっからは歩きだ」

そう言って、スティーブはドアを開けて外へと出た。

メアリーは戸惑いながらも、彼に続いて外に出る。

「ねェ、ここどこなの?」

「見て分からないのか? ここは地下駐車場だ」

彼に言われ辺りを見回してみると、確かにあちこちに車が駐車されている。

「ここからは歩くって言ったけど、タクシーにはもう乗らないの?」

「ああ。あのタクシーに乗ってたら、一発で連中に見つかるからな。恐らく奴らはこの街にも来ているだろう。だから、なるべく見つからないようにしたい」

そう言って、ポケットから煙草を取り出して火を付けた。

「なるほどねェ」

「よし、外に出たらタクシーを拾ってそのまま直行だ」

「分かったわ。うふ、楽しみだわぁ」

彼女は満面の笑みを浮かべると、スティーブの手を握った。

…その時。

「…!?」

スティーブは突如と、不気味な気配を感じ取った。

(後ろか?)

彼は心の中で呟くと、瞬時に後ろへ振り返る。

「えっ?」

メアリーもつられて後ろへ振り返ってみると、恐るべき物が二人の目に飛び込んできた。

――それは、ナイフを構えた三人の男達が二人に襲いかかろうとしていたのだ。

「キャーッ!!」

メアリーは叫びながら、スティーブの背後に隠れる。

「下がってろ!」

スティーブはそう言うと、必死に後ろに止めてある車を指差した。

直ぐにメアリーは理解し、その車の陰に隠れる。

「誰だお前等? ギャングじゃねぇな」

スティーブは男達を見据えながら言うが、男達は無表情のまま言葉1つ発しない。

「ちっ、シカトかよ」

続く

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