彼がそう呟いた時、先頭の男がナイフを構えて切りつけてきた。
「…面倒だなぁ」
そう言って、スティーブは煙草を吐き捨てる。
彼はなるべく戦いたくは無かったが、メアリーを守る為には仕方が無い。
彼は嫌々戦いの体勢に入ると、その男のナイフを蹴りで弾き飛ばした。
そして、一瞬隙を見せた男の顔面に拳を一撃。
続けてアッパーで男の顎を砕く。
「ぐはっ…!」
まず一人目を仕留めると、スティーブは瞬時に残りの二人に目を向けた。
すると、男達はのた打ち回る仲間を気にする事もなく、ナイフを構えて襲いかかる。
(こいつらマフィアか?)
スティーブは心の中でそう思いながらも、飛んでくるナイフを巧みにかわしていく。
やがてスティーブはナイフを握る手を掴むと、そのまま男の顔面に手刀を一撃。
そして白目を向いて男が倒れる中、背後に回ったもう一人の男に後ろ蹴りを喰らわす。
「ぐぉっ!!」
そのまま男は吹っ飛び、後ろの柱に激突した。
その衝撃で、持っていたナイフは床に転がる。
「お前…やるなぁ」
すると男は再び立ち上がり、拳を構えてスティーブに殴りかかった。
「まだやるのか」
彼は鋭く男を見据えると、飛んでくる拳を左手で受け流す。
そして鳩尾に拳を一撃、次に髪を掴んで顎に膝を入れた。
「…ぐっ…うぅ…」
男は溜まらずその場に崩れ、気絶する。
「メアリー! 出てこい! 終わったぞ」
するとメアリーはすかさず車の陰から飛び出し、そのままスティーブに抱き付いた。
「ありがとう! 守ってくれて」
「約束だからな」
続く