ポジティブ・アクション36

ミシェル  2009-08-17投稿
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「こいつらは一体…」

スティーブはそう呟き、気絶する男のそばにしゃがんだ。

…すると。

「…うん?」

何かに気付いたのか、彼はおもむろに男の首を持ち上げ、首筋に目を通した。

やがて、その首筋を見たスティーブの顔に驚愕の色が浮かぶ…。

「どうしたの?」

背後から、メアリーが心配そうに声をかけた。

「こいつの首筋見てみろ」

彼に言われ、男の首筋に目を通すメアリー。

しかし、彼女の表情は少しも変わらない。

「このタトゥがどうかしたの?」

彼女の目に入ったのは、二挺の巨大な大鎌が交差しているタトゥーであった。

メアリーには見覚えないが、スティーブにはあった。

「このタトゥ…“クローディアス”か」

彼はそう呟き、男の首を床に叩きつけるようにして手を離した。

「クローディアス? なにそれ?」

スティーブは立ち上がり、煙草に火を付ける。

「ロシアの犯罪組織だ」

「へぇ〜どんな奴らなの?」

メアリーは目を輝かして聞いた。

そんなメアリーに、スティーブは少々呆れた顔を浮かべると、

「とにかく、ヤバい連中だ。マフィアの中でも頂点に君臨するって言われている」

「じゃ、じゃあどんな事してるの?」

「色々だよ。テロ支援や薬物売買、武器の密輸とかな。まあ、こいつらの最も得意とする事は犯罪の請け負いだ。最早それが奴らの専門だな」

彼はそう言うと、天井に向けて煙を吐き出した。

「奴らが勢力を広げる為に、アメリカに進出してきているっていう噂を聞いたが、まさか本当だとはな」

「じゃあ何でそんなヤバい連中があなたを襲ったの?」

「分からん。謎だ。くそっ…俺が何時奴らを敵に回したって言うんだ」

彼は頭の中で思い当たる事を必死に考えたが、やはり思い浮かばない…。

そこでメアリーが言った。

「ねェ、そいつらの専門は犯罪の請け負いなんでしょ? もしかしたら、ゲイリーが連中に依頼したのかも知れないわ。あの人、色んな組織と取引しているから」

スティーブは煙草を吐き捨て、靴で踏み潰す。

「なるほどな。はは、あの人じゃなくて“あいつ”だろ?」

「うふっ、そうよね!」


続く



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