雨が降り注ぐ真夜中。
一人の男が悪魔の追跡から逃れようと必死に走っていた。
そして彼は茂みを掻き分け、車道へと飛び出す。
…その時。
突如とライトが彼の目を直撃した。
「あなたどうしたの?」
目の前で停車した車から、一人の女性が彼に声をかける。
すると彼はすかさず、
「乗せてくれ! 追われてるんだ!」
彼は何度も後ろへ振り返りながら必死に女性に懇願する。
「ふぅ…良いわ。乗って」
彼女は少々呆れた顔を見せると、嫌々彼を助手席に座らせた。
やがて車は、真夜中の林道を再び走る。
「何に追われてたの?」
隣りから彼女が声をかける。
「借金取りだ…」
彼は声を震わせると共に、体も震わせていた。
「馬鹿ね」
彼女はそう言うと、意味ありげな笑みを浮かべた。
車を走らせる事10分。
2人の前に森林に囲まれた一軒の住宅が見えた。
彼女はそのまま車をガレージに停め、2人は家の中へと入っていく。
するとリビングへと来た2人の元へ、二頭の大型犬が駆け寄ってきた。
「うわっ!」
二頭のドーベルマンは、彼を見るなり激しく吠えて威嚇してきた。
あまりの迫力に圧倒され、彼は思わずたじろぐ。
「やっぱりお腹が減っているのね」
彼女は呟くと、そのまま寝室に向かって歩いていった。
すると彼はそんな彼女の後を急いで追うと、
「待て、餌やらないのか? 腹減ってるんだろ?」
彼女は不気味な笑みを浮かべながら彼に振り返る。
「あの子達ちょっと変わっててね。普通の餌は食べないの」
「はっ? 何だって?」
彼は思わず聞き返した。
「あの子達凄くお腹が空いているわ。しばらく餌を与えていなかったから…。でも、良かったわ。あなたが来てくれて」
彼女はそう言って微笑むと、彼に背を向けて再び寝室に向かって歩き出す。
「おい待て! どういう意味だ!」
彼は血相を変えて怒鳴ると、彼女に向かって走り出した。
…しかし。
突如と背中に衝撃が加わり、彼はそのまま床に倒れる。
「ぐぅ…お、おい…嘘だろ…」
彼の目に映ったのは2つの黒い塊…。
やがて血まみれの惨劇が幕を開けた…。