「はぁ〜。」
鈴は部活が終わると、更衣室のイスに どかっ と座った。
「どうしたの?」
そんな鈴の隣に、同じバスケ部の同級生、細沢優(ほそざわゆう)が座ってきた。
「いや…。」
鈴はそう言って、立ち上がろうとした。
「鈴。」
名前を呼ばれた鈴は、立ち上がって振り向いた。
「もうちょっとあたしたちに心開いてくれても良いんじゃない?」
(…。)
言い返す言葉が見つからなかった。
事実、鈴は部活の同級生にはあまり心を開いていない。
というよりも、そういうことが苦手なのだ。
「ねぇ、鈴。」
「…何?」
「何悩んでるの?」
「!?」
(見透かされてたんだ。)
本人は気付いていないが、周りから見れば一目瞭然だ。
「わかった。だから、合宿まで待ってて。」
「うん。」
鈴は、合宿が少し楽しみなった。
中3は引退した後なので、キツいメニューはない。
やることは、主に下級生のコーチ。
(優の言うとおりだな。)