……でも、自分探しって旅に出れば良いってもんじゃないよなー。
日常的に自分探し?
日常的が自分探し…?
そこまで考えた時だった。
ガガガ……と身体に衝撃があった。
「地震だ!地震!」
みんながざわつくのが聞こえる、しかし僕は動かなかった。
「あなた何やってんの!?机の下に潜りなさい!地震、でかいわよ!」
僕は無理矢理机の下に押しやられた。しかし、頭の中は他のことでいっぱいだった……。
地震……、日常……?地震が日常的……?……あっ!
僕は気付いた。
日常は非日常も含めた日常なのだ。地震と言う不確定要素を、自分探しと言う要素を、全て引っくるめた素敵な素晴らしい、完全無欠の日常……。
どうしてこれだけの事に気が付かなかったのだろう……。日常の常識に……。
僕は日常の素晴らしさに気が付いたのだ。
自身の問題なんかどうでもよくなるくらいに魅力的な……。
幸せ……。
飲み屋で
「ほー、問題解決したの?よかったねぇ」
「はい!」
「ところであんた、俺に話す事があるんじゃないの?」
「……え?」
店主はにやりとした。
「そりゃねぇ、年頃の女性のあんたが毎日休みの日も欠かさずウチの店に来ていれば気が付くよ」
「……」
そうなのだ。
僕は女性なのだ。
そして……。
「………あは」
私達は笑いあった。
終