案の定、入ることはできなかった。
「何が規則ですからだ。ドラマのベタなパターンじゃねぇか。だがな…昔っからこういう城みてえなのを建てるやつは仕掛け扉とかが大好きなんだよなぁ〜。」俺は城の塀をまわりうしろまで来た。
「ほうら、こんどはこっちが「案の定」だ。」
俺は木の扉を見つけた。ただそれを「何かの仕掛け」とおくには多少強引だが…。
「よいしょっと。」
木の扉は厚く、意外と重かった。
「もしかしてこれって住居侵入?まぁいいか。それより誰にもみつからず城内に入れっていうミッションに変更したな。戦国系?」
俺の頭の中にはもう「聞き込み」などという単語は存在しなかった。ただ、プーをしてる時には無かった、冒険心みたいなものがでてきた。
「庭には入れたけどな…こっからどうやって中にはいる?正面玄関は正門の真後ろ。つまり警備員の真後ろを通ることになる。…流石に無理だ。またどこか抜け道みたいなのを探さなきゃな…。」
その時ふと正門を見ると…。なんと警備員2人が登山中らしき女性をナンパしているではないか!
「よっしゃ今だ。」
急いで正面玄関から中へ入った。エントランスには5人ほどいて、別に俺が入ってきたことを気にとめる様子は無かった。全員いかにも実業家のような顔をしている。
「俺もスーツでよかった〜。てかみんなアポはとってるんだろうな〜。じゃあ今のうちにどっかに隠れて夜になったら家宅捜索開始!」
いつの間にか俺の目的は聞き込みじゃなく、家宅捜索へと大きく方向転換していた…