車の免許をとる時初めて知った事。
『視力0.4』
確かに、遠くの物が見えずらい事もあったが、それまでの生活で不便した事は無かった。
俺は強制的にメガネを作らされた。何か決まり事らしい。
免許をとって5年。
今やあの時作ったメガネはダッシュボードの奥で深い眠りについている。
かと言って、コンタクトをつけている訳でもない。
強気にもどんな時でも裸眼で運転し続けている。
別に意味は無い。ただ単に面倒臭いだけだ。けど、この5年自慢じゃ無いが事故や違反なんて一度もした事が無い。
その日は午後から天気がぐずついて、俺が車に乗り込む頃には厚い雨雲が空を覆っていた。
目が悪い者にとってはこ-ゆ-天気が一番見えずらい。
俺はいつも以上に気を付けて運転した。
日が沈み薄暗さが更に視界を狭める。
細い小道に入った時だった。
前方に小学生位だろうか?
子供の歩いている影が見える。
道も細いので、徐行しながら進む。
子供は車に気付いていないのか、道の中央をユラユラふらつきながら歩いていた。
サッカーボールでも蹴っているのだろうか。
本当にユラユラと歩いている。
子供と数十メートル近付いた。しかし子供はまだ気付いていないのかユラユラとゆっくり歩く。
次第にイラついてきて、俺はクラクションを鳴らした。