「ユーリ…ユーリ」
窓から外を眺めていたユーリの背後から、突如と直子の声が聞こえた。
すぐにユーリは振り返り、直子のベッドに腰を下ろす。
「おはよう直子」
「うーん…おはよう」
直子は起き上がると、目を擦りながら大きく欠伸をした。
そして目をパッチリと開くと、
「ねェユーリ…あたし、変な夢見ちゃった」
「えっ? どんな?」
ユーリは思わずニヤリと笑い、何か有力な手掛かりが得られそうな気がした。
直子がゆっくりと語り出すと、ユーリは真剣に彼女の話に耳を傾ける。
「何かさぁ‥夢の中であたしと、何故か見た事のない見知らぬ“ピンクの水着を着た女の子”が海辺で一緒に遊んでいたの。それで…」
「待って! 今ピンクの水着を着た女の子って言ったよね!」
直子の言葉を遮り、大声を出したユーリに直子は思わずビックリしてたじろいだ。
「い、言ったけど…何でそんなに反応したの?」
(あ、ヤバい…探偵の事が)
「あ、ピンクの水着可愛いなぁと思って。ははっ。さっ、続けて」
怪訝な顔をしながらも、直子は続ける。
「まあ、それでさ。何故かその女の子が夢の中ではユーリっていう事になってるの。変よね」
「あ、あたし…?」
「そうなの。で、私達ビーチボールで遊んでいた訳。そしたらさ、ビーチボールが波に流されちゃったの。すると、女の子のあなたが取りに行ってくるとか言って、ビーチボールを追いかけて海に入って行ったわ…」
そこまで言って、直子は顔を俯かせた。
「なになに? それで?」
直子はゆっくりと視線をユーリに戻すと、
「あなたはその間々“離岸流”にさらわれて消えちゃったわ…」
「離岸流!?」
ユーリの頭の中は一瞬にしてその言葉で埋め尽くされた。
「知らないの? 波打ち際から沖合に向かってできる潮の流れの事よ」
「し、知っているわ…も、もしかしたらそれで…」
そう呟いた時、ユーリの体は自然と外に向かっていた。
「あっ、ちょっとどこに行くの?」
続く