リレー小説「秘密」:ミッシェル

ミッシェル  2009-08-20投稿
閲覧数[737] 良い投票[0] 悪い投票[0]


「ユーリ…ユーリ」

窓から外を眺めていたユーリの背後から、突如と直子の声が聞こえた。

すぐにユーリは振り返り、直子のベッドに腰を下ろす。

「おはよう直子」

「うーん…おはよう」

直子は起き上がると、目を擦りながら大きく欠伸をした。

そして目をパッチリと開くと、

「ねェユーリ…あたし、変な夢見ちゃった」

「えっ? どんな?」

ユーリは思わずニヤリと笑い、何か有力な手掛かりが得られそうな気がした。

直子がゆっくりと語り出すと、ユーリは真剣に彼女の話に耳を傾ける。

「何かさぁ‥夢の中であたしと、何故か見た事のない見知らぬ“ピンクの水着を着た女の子”が海辺で一緒に遊んでいたの。それで…」

「待って! 今ピンクの水着を着た女の子って言ったよね!」

直子の言葉を遮り、大声を出したユーリに直子は思わずビックリしてたじろいだ。

「い、言ったけど…何でそんなに反応したの?」

(あ、ヤバい…探偵の事が)

「あ、ピンクの水着可愛いなぁと思って。ははっ。さっ、続けて」

怪訝な顔をしながらも、直子は続ける。
「まあ、それでさ。何故かその女の子が夢の中ではユーリっていう事になってるの。変よね」

「あ、あたし…?」

「そうなの。で、私達ビーチボールで遊んでいた訳。そしたらさ、ビーチボールが波に流されちゃったの。すると、女の子のあなたが取りに行ってくるとか言って、ビーチボールを追いかけて海に入って行ったわ…」

そこまで言って、直子は顔を俯かせた。

「なになに? それで?」

直子はゆっくりと視線をユーリに戻すと、

「あなたはその間々“離岸流”にさらわれて消えちゃったわ…」

「離岸流!?」

ユーリの頭の中は一瞬にしてその言葉で埋め尽くされた。

「知らないの? 波打ち際から沖合に向かってできる潮の流れの事よ」

「し、知っているわ…も、もしかしたらそれで…」

そう呟いた時、ユーリの体は自然と外に向かっていた。

「あっ、ちょっとどこに行くの?」


続く

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ミッシェル 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ