僕とライアンは周りを見渡す。
「エリン!お前…。」
そう叫ぶと僕の目の前に立っている…。
「ハーン…。久しぶりね。ライアンもいるなんてね…。ふふっ…。」
僕の顔に手を当て微笑んだ…。
僕は動けなかった…。
「ムダに魔力を使うなよ。早くやめろ!」
ライアンはエリンの肩を強く押す。
「ライアン。よせ…。」
僕はライアンの腕を引っ張る。
「ハーン…。会いたかった。」
(俺は会いたくなかった…。)
「ハーンはあたしが怒っていると思ってるのね…。あたしは、怒ってなんかないわ…。」
(???)
「おい…何の話しだよ…ハーン…。」
「怒ってないって…。」
僕は悪寒が走った。
こいつは危険だ…。
そう察した。
どうするか…。やるか…。
そう考えているうちに、ライアンは氷結のヤリを出した。
「お前…なんか企んでるな…。」
エリンの喉元にヤリを突き付ける。
「ライアン、やめとけ。」
僕はヤリに手を伸ばす。
「企んでる…?何も企んでなんてないわ…。あたしはハーンに会いたかっただけよ…。」
ライアンはヤリを下げ
「ハーンに何かしたら、お前を消すからな…。」
そう言ってヤリをしまう。
ライアンも気づいたんだ…。エリンの魔力の大きさを…。
龍族の強さを…。
「エリン、頼むから、取りあえず元に戻せ。俺を消したきゃ消せ…。」
「だから、怒ってないって言ってるじゃない。あたしは…あなたが好きなのよ…ハーン…。だから、アメリカを辞めて日本を修業の地にしたんじゃない…。」
(????)
ますますわからない…。
「なんだそれ…。俺にそんな事言ってどうすんだよ…。」
しかめっつらをしてエリンを見た。
エリンは目を丸くして僕を見た…そして段々龍の目に変わり……。
「馬っ鹿じゃないのっ!!」
と叫び、龍族の波動を腹に一撃…。
しかもライアンまで…。
そして再び時間が戻る。
エリンの姿は見えない…。
「げほっ…何なんだよ…。あいつは…。」
「わかんね…。しかし痛ぇな…。龍族ってこんなつえぇのか…。」
倒れこむ僕達の周りには人だかり…。
(エリンのばかやろ…。)
そう思いながら、僕達はフラフラと家に帰る…。