ユーリは海辺へと走る。
(もし、離岸流に流されたとしたら…。)
離岸流などの自然トラブルは地元の人に詳しく聞いた方がよい。
海辺に着くと、朝日が海に反射して眩しく見えた。
その逆光の中、あの海の家のおじさん(お兄さん?)が海を眺めて立っている。
海では、警察が捜索をしている…。
「あれ?お姉ちゃん♪」
「あっおはようございます。」
(やっぱコイツに頼るのか………)
「何か聞きたい事でもあるのか?」
「はい…離岸流の事で。」
「あぁ、離岸流ねぇ…そういえば、さっきもそんな事聞きにきた子がいたなぁ…。」
「えっ!!誰ですか?!」
「あの神隠しの友達らしいんだけど…。ついさっき来て、あっちの岩かげの方へ行っちゃったよ。あっちは危ないって言ったんだけどね〜。」
指差す方に岩かげ…。
(何かあるのかも…。)
「ありがと!おじさん!」
「おぉ〜。次はせめてお兄さんって呼んでくれよ〜。」
(呼ばないよ…おっさん)
岩かげに行くと、そこにはもう誰もいなかった…。警察の捜索も、まだここまで来ていない…。
周りを見渡すと、洞窟らしき穴がある…。
(あそこ…なんだろ…。)
近づいてみると、男性の白いTシャツ…。そしてピンクのビーチサンダル…。
(ここに辿り着いたとか…?でもなんでTシャツ??)
もし、離岸流で流されてしまっていたら、溺死する可能性の方が高い…。
これが行方不明の女の子のサンダルなら、ここに迷いこんでいるかもしれない…。
しかし、あの海の家の人が言ってた行方不明の子の友達はどこへ行ってしまったのか………。
ユーリはしばらく考え、この洞窟らしき穴へ入る事に決めた。
続く