「ちょい待て!落ち着け!人間相手に魔力使ってどうする?!」
僕は必死にエリンの肩を抑える。
「どうって…。消すに決まってんじゃん…。」
(勘弁してくれ〜〜)
エリンの魔力MAX…。
いくら、地獄の番犬ケルベロスの僕でも、龍には勝てない…。
一か八か………。
僕はエリンにキスをして抱きしめた。
「落ち着け…よく考えろ…。今奈々ちゃんを消したら、ライアンが怒るだろ…。ライアンの問題だし…。ここは抑えろ。」
エリンの瞳から龍の目が消える…。
そして顔を真っ赤にした。
「やだぁ〜ハーンってばっ♪」
バチーン…………。
エリンの魔力MAXビンタ…。
本人は手加減したつもりだろうが…僕は飛ばされる…。
「ちょっ…ハーン!大丈夫??」
(大丈夫な訳ねぇだろ…)
と思いながらも…。
「大丈夫…。ほら♪」
と立ち上がってみせる。
「さすがケルベちゃん♪」
(…ケルベちゃんって…)
エリンは微笑んで僕の手を握る…。
ライアンと奈々ちゃんの事は、一様納得したエリン。
「でも、次見たら消すからね!」
の一点張り。
次見たら…エリンとバトルかも…。
と憂鬱になる。
夕日が沈む頃、僕達はまた手を繋ぎながら帰る。
龍族の反乱…。
エリンに聞いたらマズイかな…。
「あのさ…。ちょっと聞いてもいいか?」
「何なに?」
ニコニコしてるエリン…。聞きづらいが…。
「龍族って、反乱起こしたよな…。なんか理由あんのか…?」
ピタっと立ち止まり、エリンは悲しい顔をする。
「話したくなかったらいいんだ。気にするな…。」
「知りたいの?」
エリンの瞳から涙がこぼれる…。
「泣くな…。いいんだ。気にするな…。」
「でも、知りたいでしょ?」
真っ直ぐな瞳…。
僕はエリンを抱き寄せ
「辛いだろ…悪かった。」
そう言って、髪をなでる。
「いずれ話さないとって思っていたからいいの…。聞いてくれる?」
真面目な顔…。
僕は思わずうなずいた…。
「ハーンは、ペンドラゴンって知ってる?」
「ぺン…ドラゴン…?」