「いいよ…行かなくて。なんかあったら呼ぶだろ?」
エリンの腕を引っ張り、止める。
「なんで〜いいじゃん!」
頬を膨らませて、ふて腐れる。
「バカ…2人でいたい時だってあるだろ…。」
照れながら僕は言う。
キョトンとした顔でエリンは僕を見る。
「ハーンもあたしと2人がいいの?」
(そんな事聞くな〜!)
と思いながらもうなずいてみた…。
エリンは微笑んで僕の腕に抱き着いた。
「あれ?陽斗くん?」
横を見ると奈々ちゃんがにこやかに会釈をした。
すると、エリンは後ろへ隠れた。
「やぁ…正司に会いにきたの?」
「うん。陽斗くんも?」
「いや、俺ん家隣だから…。」
「そっか、……後ろにいるのは彼女かな?」
奈々ちゃんは後ろを覗く。
「そう。安田絵美さん。同じ大学なんだ。絵美、挨拶しろ。」
そう言うと、エリンは後ろからペコっと頭を下げる。
(なんか言えよ………)
「可愛いね♪」
あははと軽く笑う。
「じゃ、部屋戻るから。またな…。」
「うん♪」
奈々ちゃんはライアンの部屋の呼び鈴を鳴らす。
僕等は部屋のカギを開け部屋に入ろうとした…その時…。
「待って、陽斗くん!」
奈々ちゃんが僕を呼び止めた。
「どうかした?」
「正司くん、いないのかな?出て来ないんだけど…。」
「ケータイは?鳴らしてみた?」
「さっきココ来る前に電話したんだけど、そんときは出たよ。」
(寝てんのかな…?)
そう思い、僕も電話してみるが、出ない…。
「カギあいてない?開けてみよっか?」
僕はそう言ってドアノブを引いた。
そうしたら突然、悪い予感が身体を走る…。
「ハーン!伏せろ!!」
ライアンの声が響きわたる。
僕は体を伏せて何かをかわした。
「大丈夫か?!」
ライアンが駆け寄る。
「大丈夫だけど…なんだよ…今の…。」
ライアンの指差す方向に、王族の戦士が…。
「げっ!グリフォンがなんでいんだよ!!」
僕の頭がパニックになる。まさか、エリンの事がばれたのか…?
「エリン!逃げろ!奈々ちゃん連れて!早くしろっ!」
僕はとっさに思った事を言った。
エリンは慌てて奈々ちゃんの手を引っ張り走り出す。
「観念しろ…お前は王の元へ連れていく…。あの女も一緒に…。」