『お母さんと買い物に出掛けたんだった。
いつも通りに八百屋に言って肉屋に行って…
その後、お母さんがいつもと違う路地に入って言って…。
私は…』
私はそこからの記憶がない。
望は悩んだ。
記憶がないこと、そして母はどうなったのか…。
そしてここは何処なのか。
吐き気のする体を必死に堪えながら考えたが堂々巡りなことだけで答えは浮かばない。
望は吐き気のする体を起こして、ゆっくりゆっくりと視界に入った家を目指した。
そして、息を切らしてやっとの思いで着いた家には誰もいなかった。
家には人が住んでいた気配だけ。
その気配も今にも消えそうなほど古びていた。
望はギシギシ言う椅子に座り考えた。
過去の記憶ではなく未来について。
まず、自分がどうするべきかを。