復讐のジャケット?

ミッシェル  2009-08-22投稿
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俺はジャケットの懐に拳銃を忍ばせながら、バーの中へと入って行く…。

中では薄汚い男共が呑気に酒を飲んでいた。

席に座っている、ドレスを着た若い女達が誘惑の眼差しで見つめてくるが、今の俺には関係の無い事。

…俺の目的は1つ。

“奴”はカウンターの一番奥に座っていた。

長い髪に頬の傷。

間違い無い“奴”だ。

俺はゆっくりと“奴”の元へと歩を進める。

そして懐から拳銃を取り出し、

「久しぶりだな‥。“モーガン”」

モーガン・ディクソン…。

こいつが俺から全てを奪った男。

ありとあらゆる犯罪に手を染めた凶悪な殺人鬼である。

こいつは今まで大勢の罪の無い者を無差別に殺してきた。

そして妻と息子の命も…。

だが今、ようやく復讐が果たせる。

俺は強く拳銃を握り締めた。

「…うん? 貴様…アダムか?」

奴はそう言って、席から立ち上がった。

「そうだ! お前を殺しに来た!」

俺がそう叫ぶと席に座っていた客達が一斉に立ち上がり、悲鳴を上げながら一目散に店内から去っていった。

バーに残ったのは俺とモーガン。

…そして二人の男。

「ほぉ〜良いジャケットを着てるな」

奴は俺の拳銃には目もくれないで言った。

奴のそのムカつく態度が、俺の怒りを更に募らせる。

「アダム。そこにいる二人は俺の仲間だ。利口なお前になら分かるだろ? 今のお前の状況が」

背後から二人の男が俺に銃を向けているのが分かる。

だが、俺は別に命など惜しくない。

奴を殺せればそれでいいんだ。

俺に迷いは無い。

「死ね!!」

「何!?」

俺はそう叫び、引き金を引いた。

ありったけの銃弾を奴に浴びせる。

それと同時に背後からも衝撃がくるが、今の俺に痛みなど感じない。

俺は泣きながら、復讐の喜びに浸る。

やがて銃弾を撃ち尽くすと、俺は静かに倒れた。

血液が自分の体内から抜けていくのが分かる。

「馬鹿やろう…俺を舐めるなよ…」

奴の声が聞こえる…。

まだ聞こえる…。

まだ…。

…次の瞬間、俺のすぐ近くで何かが転がった。

それは死の淵に立つ俺でもハッキリと見えた。

…防弾チョッキだ。




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