復讐のジャケット?

ミッシェル  2009-08-22投稿
閲覧数[487] 良い投票[0] 悪い投票[0]


俺は驚いた。

…生きてる。

俺は死んだ筈だ。

奴に復讐する事も出来ずに…。

だが、俺は生前の状態そのままでここに立っている。

唯一可笑しな所と言えば、この豊富に蓄えた無精髭。

そして長く伸びたボサボサの髪や、このボロボロの服。

以前の俺は勿論、こうじゃなかった。

やはり可笑しい。

一体俺はどうしたんだ…。

取りあえず俺は辺りを見回した。

目の前には汚れた壁。

荒れ果てたゴミステーションに、無造作に置かれたポリバケツ。

そして、傍らに転がる謎の男の死体…。

「これは…」

俺はそう呟き、その死体の顔を覗き込んだ。

「!?」

俺は思わず驚愕した。

その死体の顔はまさしく、

…俺だった。

俺は驚きを隠せなかった。

何故俺がここに倒れているんだ…。

全く理解が出来ない。

その死体の服装も、俺が死ぬ前の服装とジャケットを除けば全く同じだ。

なのに今の俺は、こんなボロボロの服装になっている。

唯一、俺のお気に入りの革ジャケットだけが、元の間々俺を包んでいた。

「まさか…」

俺は居ても立ってもいられず、路地裏から飛び出した。

歩道をひたすら走ると、俺は近くのスーパーへと飛び込んだ。

そしてトイレに入り、鏡の前に立つ…。

「嘘だろ…」

俺は我が目を疑った。

そこに映ったのは、全く違う自分だった。

「…体が入れ替わったとでも言うのか?」

俺は呟くと、鏡に映る自分じゃないその顔に見覚えがある事に気が付いた。

それは俺が死ぬ直前に、俺の顔を見ながらひたすら俺に声をかけていた男の顔だった。

…おれは確信する。

「なるほど…」

何故かは分からないが、どうやら俺はその男の体に乗り移ったらしい。

俺は鏡に映る男に向かって言う。

「悪いがお前の体、俺の復讐の為に使わせて貰うぞ…」

新たな肉体を手に入れた俺がやることは1つ。

…奴を潰す事だ。

「神よ、感謝するよ」

俺はそう呟き、トイレから出た。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ミッシェル 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ