関口は振り上げた刃をそのままにして達也を見ていた。
おそらくシャドウ・スピリットであるヒビキの存在に気付いていなかったのだろう。
ヒビキ
『行くよ……達也
私の言う通りにして…いい?』
達也
「わかった…ヒビキ」
そう言うと僕はヒビキの指示を待った。
そして………
ヒビキ
『まずは……刃からやるよ!』
達也
「わかった!」
ヒビキは‘フレイム,と呟くと剣が真っ赤に染まった。
ヒビキ
(もし…あいつがあの薬で変化したのなら……これで!!)
達也
「ハッ!!」
達也は剣を両手で持つと上段から一気に振り下ろした。
真っ赤に染まっていた剣は軽く刃の腕を切り落とした。
関口
「グアァァ−−−!!」
ヒビキ
(やっぱり……間違いないあの薬だ…!!)
悶え苦しんでいる関口は残っている腕で達也を殴ろうとしたが……
ヒビキ
『伏せて!達也!!』
達也
「ッ……!わかった!!」
即座にその場に伏せた達也の頭上を関口の腕が横切った。
すぐさまヒビキが達也に指示を出した。
ヒビキ
『そのまま振り上げて!!』
それを聞き、達也は剣を下から振り上げた。
殴ろうとしていた腕は肘から下が失くなっていた。
関口
「ナ、ナゼ!!ナゼ…ダ!!
キサマ……ハ…ジンゾク…ノハズダ!!」
達也
「普通の人族じゃないだけだ!!」
関口
「グッ……!」
関口は距離をとると自分の前に魔法陣を展開した。
会長の時と同じく砲撃魔法の魔法陣であった。
関口
「シネェェ−−−−!!」
ヒビキ
『達也!手を前に出して!!』
達也
「わかった!!」
達也が手を前に出すのを確認するとヒビキは術の詠唱を始めた。
ヒビキ
『銀色の壁よ……我らを護る盾となれ…!シルバーウォール!!』
そう唱えると手の前から銀色に輝く壁が達也の前に現れた。
砲撃魔法はその壁に当たると四散した。
関口
「ナッ!!バカ…ナ!」
ヒビキ
『あんたの魔法の属性は知ってんのよ!……もちろんあの薬のこともね!!』
ヒビキは真剣な眼差しでそう言った。