寝付けない少年のところに、一匹の悪魔が現れた。
「誰?」
「悪魔だ」
「何の用?」
「お前の願いを一つだけ叶えてやる」
「じゃあ、僕を世界一かっこいい男にしてよ!」
「よかろう。朝起きれば、お前は世界一の美男子になっている」
悪魔は消え、少年も少しして眠りについた。
少年はいつもより一時間遅く目覚めた。家に起こしてくれる人間がいなかったからだ。外に出てみるが、人は一人もいない。もちろん新聞なんて物も届いていない。自分以外の人間は消滅してしまったらしい。
どうせそんなことだろうと思ったよ。
少年は道路の真ん中に、ごろんと寝転び、天に向かって大声で叫んだ。
「ああよかった。これでもう、顔のことで虐められない」