むかーしむかしあるところにダンスが得意なムカデ君がいました。
50本の足を変幻自在に操り、本能のまま踊るその姿をひとたび見れば誰もが虜になり、森のパーティでムカデ君が踊ればみんな釘付けになってしまいました。
しかしたった一匹、それを快く思わない生物がいました。蛙君です。
蛙君はムカデ君の素晴らしいダンスに嫉妬し、ムカデ君を貶めてやろうと悪魔の企みを企てました。
ある日蛙君は手紙を書きました。
『並ぶものなきムカデ様、あなたのダンスはまことに素晴らしく私は心酔しています。そして是非とも参考にさせていただきたいのですが、あなたはどのようにダンスを踊るのですか?
まず27番目の左足を上げ、13番目の右足を上げるのですか? それとも最初のステップは40番目の右足を踏み出して、それから3番目の足を上げるのですか? お返事を心よりお待ちしています。蛙』
手紙を受け取ったムカデ君は、初めて自分がどのように踊っていたのか考えた。
最初はどの足を動かしてる? その次は? そしてそれからは? こうして考えてるうちにムカデ君はダンスを踊れなくなってしまいました。