車を15分程走らせると、目の前に寂れたマンションが見えてきた。
間違いなく、あのマンションに奴はいる。
俺はマンションの裏の駐車場に車を停め、拳銃を片手にマンションの中へと入って行く。
そしてエレベーターに乗り、7階へと上がった。
エレベーターを降り、廊下をゆっくりと歩いていく。
廊下は静寂に包まれ、自分の足音がやけに大きく聞こえる。
廊下を照らす蛍光灯は今にも消えそうな勢いで、何度も点滅していた。
やがて廊下の一番端に来ると、俺は足を止めた。
…708号室。
この部屋に、奴は間違いなく居る。
俺は拳銃を力強く握り締め、インターホンを押した。
古いアパートだからか、そのインターホンには通話口は無かった。
やがて扉の向こうから、男の声が聞こえてくる。
「誰だ? こんな時間に…」
…間違いない奴の声だ。
ゆっくりと扉が開くと、俺の前に黒いタンクトップを着た“モーガン”が姿を現した。
「誰だお前」
俺は無視し、すかさず奴に銃口を向ける。
「何!? 何のつもりだ…」
「お前を殺しに来たのさ。お前は俺の妻パティと、息子ライアンを殺した…。モーガン・ディクソン…。お前を殺す!」
「な、何だと!」
俺は奴に銃を向けた間々、部屋に上がり込む。
「お前は一体…」
モーガンは驚いた顔で俺を見つめるが、俺は冷静に鋭い目つきで奴を見つめる。
「キャーッ! モーガン!!」
リビングへ来ると、体にバスタオルを巻いた金髪の女が現れた。
「キャシー…。静かにしてろ。俺は大丈夫だ」
そのキャシーと呼ばれた女は黙って頷き、壁に寄りかかった間々固まった。
「お前…まさか…いや、有り得ない…」
モーガンは嫌な予感を振り払うように、首を横に振った。
「ふっ。俺だって信じられないが、俺は蘇ったんだ! 神が俺にチャンスをくれた」
「嘘だ…こんな事が…信じられない…」
モーガンは信じられないという様子で、酷く動揺していた。
モーガンの足を見てみれば、小刻みに震えているのが分かる。
「モーガン…妻と息子の苦しみを…思い知るがいい!!」